住宅ローンの返済が滞ると…
住宅ローンの返済が滞ると、誰もが不動産の売却を考えると思いますが、念願のマイホームで思い入れが強いほど、簡単に売却する決断はできないものです。「売りたくない!」「今は苦しいけど、何とか挽回したい!」という気持ちで頑張っている方も多いでしょう。とはいえ、現実問題として住宅ローンの返済が滞っている以上、最悪のケースを考えておくことも重要です。
住宅ローンの返済が滞り続けると、その先の選択肢は一般的に「任意売却」か「競売」のいずれかになります。「任意売却」とは、債権者・債務者の双方が納得できる価格で第三者に不動産を売却することですが、これが出来ないと「競売」されて、債務者の意志に関係なく強制的に不動産が売却されてしまいます。任意売却とは?
競売のデメリット
任意売却の手続きをとらず、競売の手続きになってしまったときのデメリットは以下のとおりです。
1 市場価格より安く売却される
競売での落札価格は、市場価格に比べ2~4割安くなってしまいます。住宅ローンの残高を下回るため、売却後も残債が残ってしまうのが大きなデメリットです。しかも、その残債は一括返済等が求められます。
2 連帯保証人に迷惑がかかる
住宅ローンの契約時に連帯保証人を立てている場合は、債務者が返済できないと連帯保証人が返済を迫られます。連帯保証人も返済できない場合は、連帯保証人の不動産が競売にかけられることもあります。
3 すぐに立ち退かなければならない
競売で落札されたら、直ちに立ち退く必要があります。もし居座り続けた場合は、落札者から裁判所に建物引渡命令の申立てがなされ、強制的に立ち退きを命じられることになります。
4 引っ越し費用などは自己負担になる
競売による不動産の売却代金はすべて債権者(金融機関)への返済に充てられるため、手元にお金は残りません。引っ越し費用などの経費はすべて自己負担となります。
5 近隣に知られるおそれがある
競売物件の所在地情報は、裁判所の掲示板や、新聞・雑誌・インターネットなどで公開されるため、近隣の人に知られる可能性が大きくなります。
競売の流れ
住宅ローンの返済が滞ると、まずは債権者(金融機関)から電話や書面による催促があります。3~6ヶ月すると、債務者に代わり保証会社が債権者にローン残高と延滞利息を返済します(代位弁済)。その後、保証会社が裁判所に競売を申立て、強制的に不動産を売却して代わりに返済したお金を回収する、という流れになります。
競売開始決定の通知が届いて1ヶ月くらいすると、裁判所の執行官が訪ねてきて建物内の写真を撮影したり、誰が住んでいてどのような権利関係なのかを調査したりして、競売資料を作ります。この資料は、入札期日が決定したら裁判所の掲示板や各媒体で公告されます。